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拝啓 師走の候、貴院におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
2024年は、クリニック開業を取り巻く環境が大きく変化した1年となりました。今年は多くの開業物件が市場に出回りましたが、地域や診療科目による競争の激化や物件の選定難易度の高まりを感じられた方も多かったのではないでしょうか。
2025年の動向予測
来年2025年も、引き続きクリニック開業の市場は活発になると予想されます。
ただし、少子高齢化の進展や地域ごとの医療需要の変化により、開業における地域戦略の重要性が一層高まると考えられます。また、デジタルヘルスやオンライン診療のさらなる普及により、ITインフラ整備を含む新たな開業モデルが注目されるでしょう。
一方で、医師不足が続く地域や診療科目においては、自治体との連携や補助金制度の活用が鍵となることが予想されます。こうした動きを踏まえ、開業の際には専門家のサポートを活用しながら、長期的な視野での計画を立てることが成功のポイントとなるでしょう。
―メディサポの事業についてー
クリニック開業「メディサポ」事業は、1984年創業のレセプトコンピューター・電子カルテシステムの販売に端を発します。電子カルテシステムを販売する中で、開業を検討される先生方から立地や不動産に関するご相談を多くいただくようになりました。そこで、2019年10月に開業支援サービス・高度管理医療機器サービスをスタートして、2020年5月には不動産事業も開始しております。担当者においては、これまでに数百件もの新規開業(事業承継含む)のサポート実績がございます。
医療DX推進、コロナ禍以降での収益減、建築費用高騰などの要因で、閉院希望先も増え、さらに新規開業より立ち上がりが予測できる事業承継のニーズが増えてきております。
そこで新たな事業展開として、本年10月からクリニック開業「メディサポ」を立ち上げました。
メディサポは、行政書士・司法書士など各分野の専門家とチームを組み、組織的なサポート体制を構築しているのが特徴です。長年の関係で培った医師との信頼関係を基盤に、きめ細かな支援を提供しています。
―医療業界のM&Aの実施状況についてー
従来であれば新規開業を目指していた先生方が、事業承継という選択肢に注目するようになってきています。その背景には、建築費の高騰が理由として挙げられます。患者様の来院数が見通せない段階での多額の初期投資は大きなリスクと感じるでしょう。
また、保険点数の年々の低下により、医療機関の経営環境も厳しさを増している現状があります。こうした状況下で、より安定的なキャリアパスとして、事業承継による開業を検討される先生が増えているのではないでしょうか。
加えて、後継者不在の悩みを抱えるベテラン医師も増えてきています。電子カルテの導入やオンライン診療の普及など、医療のデジタル化が急速に進む中、年配の先生方の中には新しい環境への対応に不安を感じる方も少なくありません。特にコロナ禍以降、この傾向は顕著になってきました。
長年築き上げてきた患者様との信頼関係を次世代に引き継ぎたいという思いも、承継を考えるきっかけになっていると感じます。このように、新規開業のリスクを避けたい先生と、円滑な承継を望む先生の思いが重なり、事業承継への期待が高まっているのです。
―新規開業と事業承継ニーズに対してー
新規開業の場合は、開業しようとする候補地やその地域周辺の市場を客観的に調査することから始まり、不動産物件の紹介、開業までのスケジュールや事業計画の素案作り、スタッフの募集・採用面接の支援など一貫したサポートを提供しています。類似の事例を紹介するなど、わかりやすい提案を心がけています。
事業承継の場合は、取引する価格の妥当性が重要なポイントになります。前任の先生と後継者となる先生の双方が納得できるよう論理的な説明を行い、お互いが歩み寄れるようサポートします。
後任の先生にとって、事業承継は既存の患者様がついており、地域での信頼関係が構築されているという利点がある一方で、前任の先生の診療スタイルをある程度引き継ぐ必要が生じることもあります。このようなメリット・懸念点をきちんと説明し、「こんなはずではなかった」ということが後々発生しないよう配慮しています。
もちろん、先生方の専門性や志向によって、最適な選択肢は異なります。例えば、外科系の先生の中には「手術がしたい」という強い思いから、あえて病院勤務を選ぶ方もいらっしゃいます。このように、新規開業や事業承継だけでなく、先生方の専門性を活かせる環境も重要な判断要素となるのです。
―事業承継に取り組む際に大切にしていることー
地域医療の継続性の確保を最優先に考え、関係者全員が納得できることを大切にしています。特に、先生が退職の意思表示を医局にするタイミングには状況を判断してアドバイスさせていただいております。医局人事の関係で退職の意向を1年前から伝えることを望む国立大学病院や公立病院もあるようです。
また、医療の世界では地域ごとに異なる事情があります。例えば、既に同じ診療科目が多い、競合医療機関が近隣に場合はエリアの調整確認必要になります。こうした地域の事情、医局や医師会それぞれの考え方を熟知しているからこそ、私たちは承継のタイミングや手続きについて、事前に適切なアドバイスができるのです。
そして何より大切なのは、患者様の診療に影響が出ないよう、できる限りの対策を講じることです。前任の先生やご家族の意向、後継者となる先生の希望、そして地域の医療ニーズ、これらすべてのバランスを取りながら、丁寧に進めています。
―M&A支援の具体的な体制ー
医療機関の事業承継は非常に専門性の高い分野です。そのため、私たちは医療機器メーカー・薬品卸の会社や行政書士など各分野の専門家とチームを組んで支援を行なっています。さらに、ご不安を軽減するために必要な費用を明示したり、M&Aプラットフォームを運営するバトンズと連携するなどして、より透明性の高い支援体制も整えています。
依頼者に寄り添ったサービスを提供するために、当面は近隣の兵庫県や大阪府の支援に集中して取り組みたいと考えています。私は、日々、県内各地の医療機関を訪問しています。その中で、地域ごとの特性や慣習などの知見を深めてまいりました。
兵庫県を中心としたエリアに注力することで、より精度の高い売り手様、買い手様の双方にとって幸せな事業承継のお手伝いができると信じています。
ー最後にー
事業承継は単なるビジネスの引継ぎではありません。ともすれば、地域医療に変化をもたらす出来事にもなりかねません。
兵庫県の医療事情・先生方を誰よりも知っていると自負しているからこそ、売り手様、買い手様双方の先生のために最善を尽くせると信じています。事業承継に関するお悩みがございましたら、まずはお気軽にご相談ください。
私たち開業コンサルタントは、これからも先生方の夢の実現をサポートすべく、最新情報の提供や的確なアドバイスを心掛けてまいります。どうぞお気軽にご相談ください。
本年も大変お世話になりました。2025年も変わらぬご愛顧を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。末筆ではございますが、皆様のご健勝とご発展を心よりお祈り申し上げます。
敬具
2024年12月吉日
クリニック開業 メディサポ
仁里